不登校新聞

229号 2007.11.1

第8回 親の会は山登り【下】

2015年01月08日 14:14 by 匿名
2015年01月08日 14:14 by 匿名


連載「家庭内暴力」


 ぼくにとって遠藤豊吉先生が父親なら、奥地さんが主宰する「東京シューレ」と親の会の全国ネット、そして自分が世話人となっている福井の親の会、そこに招いた多くの先生方、そこに集まって来られた多くのお母さんがたが母親だ。

 親の会で出会ったじつに多くのお母さんがたがいなかったならば、僕はけっして息子とこんなふうに親密に、長期間付き合うことはできなかっただろう。

 なぜなら、拒否とは本当に深刻で奇想天外なドラマだから。

 『ぽっこん、ぽっこんとトイレのつまりを直しました』というのをある親の会の通信で読んで、思わず笑った。神経症を知らなくてこの記事の意味はわからんだろう。

 子どもは閉じこもってから数年すると、一日に何時間も手を洗い出した。手は白粉を塗ったように白くなった。これでは永遠に外に出て働くのは無理だろうとぼくは思った。とくにトイレに行った後が念入りだった。

 そしてそのころ、なぜかトイレがよく詰まった。息子がトイレットぺーパーを無茶苦茶にたくさん使うからだということが後でわかったが。

 トイレが使えないとなると、わが家は恐慌状態に陥る。息子は家から一歩も出られないから暴れだし、親は脂汗を流しながらポッコン、ポッコンと詰まりを吸い上げる。それで水が流れ出すこともあれば、流れ出さないこともある。どうしてもだめなときは、衛生車に来てもらう。こんな苦労は体験者でなければわからないだろう。
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