不登校新聞

228号2007.10.15

第14回 少年調書漏示出版【下】

2015年01月15日 14:48 by 匿名
2015年01月15日 14:48 by 匿名


連載「精神現象」


 奈良医師宅放火殺害事件の精神鑑定を行なった医師は、調書に関しての秘密漏示容疑を否認しているという。だから、現時点では、この医師が調書の写しや鑑定書を提供したと、断定することは慎まねばねらない。それでも、A4版3000枚の調書類を入手したと、著者である草薙氏が明言している以上、誰かがそれらを漏示したことは確かだ。

 弁護士と同じく医師も、職業上知り得た秘密を漏らすことは許されていない。それは、法律に定められているという以上に、倫理の問題だ。仮に、精神鑑定に携わる医師が秘密を漏示するとわかっていたなら、誰しもが本当のことを話そうと思わなくなるだろう。それでは鑑定医としての仕事が成立しない。倫理とはそういう意味だ。では、社会に対して精神鑑定医は、ただ口を閉ざしていればいいのだろうか。そういうわけにはいかないと、私は思う。個別の事件には、人々にとって普遍性を帯びていると考えられる部分が、必ず含まれている。個人の匿名性を考慮したうえで、普遍的な部分を開示する方法が、確立されねばならない。
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