連載「不登校の歴史」
大陸横断旅行を敢行した95年の9月、東京シューレの子どもたちは、18人の手記をまとめ、「僕らしく 君らしく 自分色」という本を出版した。刊行委員会のまとめ役は、当時16歳、現在シューレ出版の社員をやっている須永祐慈くんがみずから立候補した。
この本は、教育資料出版会の協力を得て、子どもが書き、子どもがつくる本として、また東京シューレの5周年記念に出した「学校に行かない僕から学校に行かない君へ」の第2弾として、10周年に出版したいと企画されたものである。どちらも「僕」「君」がつくことから、「僕君第1弾」「僕君第2弾」と呼ばれてきた。第1弾は登校拒否の仲間向けに書かれたが、第2弾は、「今いじめなどで苦しんでいる人たちに、学校へ行かない生き方もあるということを知ってもらえればいいなあと思ってつくりました」(須永祐慈序文)と外向けになっている。本欄で以前取り上げたように、前年の11月大河内清輝君のいじめ自殺があり、数カ月間いじめが社会問題化していたことに、胸を痛め子どもたちが考えたことである。
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