連載「家庭内暴力」
息子が学校に行かなくなったのは、中学2年の1学期末からだった。
なにか不安そうで、おびえているふうだった。あどでわかったことだが、ちょっとしたいじめがあったのである。
しかしそのずっと以前から、彼は学校生活にひどく疲れているようすだった。下校するとすぐにカバンを放り出して、応接間のソファーに横になり、グウグウいびきをかいて寝てしまうことが多くなっていた。
息子が登校拒否になって、私たちは大騒ぎし、家に祈祷師を呼んでお祓いをしてもらったり、京都の鞍馬山にお参りしたり、そのほかさまざまなことをやった。その間、ぼくは、1年もすれば行くようになるだろうと思ってのんびりする気分もあった。
だが私たちは半年ほどすると「家族療法」の専門家を見つけ出してきて師事するようになった。最初は、お祓いよりは学問のほうがまだましだと歓迎したぼくだったが、これがとんでもないことになった。その心理療法の教授Jはまだ若いが、アメリカに留学し、著作も何冊かあり、多くの拒否児を学校に行けるようにしたと地方紙に載っていた。
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