不登校新聞

403号 2015/2/1

不登校専用アルバイトマニュアル「不安だったのは他人より親の反応」

2015年01月29日 16:34 by kito-shin
2015年01月29日 16:34 by kito-shin


連載「不登校専用アルバイトマニュアル」


 「アルバイトを始めたい」、そう思ってもたくさんの不安が頭をよぎるもの。今回は不登校経験者の田子つぐみさんに自身の経験を執筆してもらった。

 私は20歳のころ、親が借りているクソ安いアパートの何件かをつねに移動し続け、荷造りと荷ほどきをくり返す生活をしていた。母親はいつも妄想のなかの地縛霊や幽霊と戦っていたため、アパートを移動し続けなければならなかった。私はそんな「1人戦争」に家族全員が巻き込まれることに嫌気が差し切っていた。母親の機嫌をうかがうだけの毎日から離れ、自分の世界、自分の人生がどうしてもほしかった。
 

不安と心配と希望に燃えて

 
 でも自分は半引きこもり状態でお金もない。それに親の付き添いなしで私が一人で外出することを母は快く思っていなかった。こんな生活ばかり続けてもう20歳になったし、私は自由になりたくて、自分の人生がほしくてたまらなくなっていた。アルバイトさえすれば、おこづかいのもらいづらい家庭内貧困から卒業できて、もっといろんな人となかよくなれると思った。


 
 もちろん不安はたくさんあった。バイト以前に私は学校にさえ行けなかった。そんな私が「働いてお金をもらう」なんてことが許されるのだろうか。むしろお金を払って働かせてくれたらどんなに気が楽かと思った。でも、親から離れるのにはお金が必要だった。自分の使うお金さえ稼げれば別居する家はある。とにかくバイトを始めることに燃えた。
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