連載「家庭内暴力」
私は家から出られない不自由さや子どもの行動の全責任が自分にあるような気持ちから、ときどき大声をあげて家族にストレスをぶつけることがあった。そのセリフまわしがまた母と同じで落ち込んだ。
子どもが学校に行かなくなって1年ぐらいしたころ、私は東京シューレで行なわれている渡辺位さんの来られる親の会に参加するようになった。そこでの子どもの側に立ってものごとを考えること、一番苦しいのは親ではなく子どもであること、子どもの言葉の裏の気持ちを考えること……という考え方の一つひとつが私のいままでの価値観や思考回路を変化させていった。「この年になって親のことがネックになっている」という私に対して、先輩お母さんのAさんは「親の問題はそれだけ重いということじゃないかしら、自分を肯定できるようになればきっと子どもも肯定できるようになるわよ」「大声をあげたら謝ればいいじゃない」と言ってくれた。母に一度も「ごめんなさい」なんて言われたことがない私はカルチャーショックだった。しかし、一度「ごめんね」と言ってみると、その場の空気の流れがよくなり、子どもにすなおになることの気持ちよさを感じることができた。
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