
20年以上にわたって大阪で野宿者問題に関わる生田武志さんは、今年6月に創刊された雑誌『フリーターズフリー』の立ち上げメンバーでもある。同誌に掲載された論文で、生田さんは、フリーターやニートの問題が野宿者問題と同じ社会構造のなかで生み出されていることを鮮やかに析出した。いま、若者はどういう状況に置かれているのか? 生田さんにうかがった。
――野宿者問題に関わりはじめたのは?
86年から釜ヶ崎(※注)に関わっています。当時は、日雇い労働の問題が主でした。野宿するのはアブレ(仕事が減る)や病気、ケガで仕事ができなくなった人で、数にして全国でもたぶん1000~2000人。しかし、いまは全国で推計3万人ですから、桁ちがいです。98年ごろに失業率がグンとあがって、公園などでテントをはって生活する人が急増し、野宿期間も長期化していきました。
――野宿者への襲撃も問題にされていますね?
これは、ほとんどが若者によるんですね。襲撃の理由には「役に立たない存在だから」「公共の場にいて迷惑な存在だから」というものがありますが、これは、自分たちが言われていることの裏返しです。勉強ができなければ価値がない人間で、学校や家庭で価値のある人間になるには「いい子」でなければならない。何かをしないと価値がないという抑圧が強くて、学校にも家にも居場所がない。そういう若者が野宿者を襲うというのは、とても不幸な関係です。
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