「私が飲んでいる精神薬について知りたい」――子ども編集会議で、このような提案がありました。抗不安薬や、抗うつ薬など、あらゆる精神薬が存在するいま、精神薬とは何なのか。児童精神科医である石川憲彦さんにうかがった。
取材の冒頭、「そもそも薬って何?」という質問に、石川さんは「薬は毒ですよ」と答えた。「人間が生きていくうえで欠かせないものを飲食物と呼びます。それ以外で口から入るものは、ある意味、毒なんです」ということだ。
ふだんの生活でカゼをひけばカゼ薬を飲むし、胃が痛くなれば胃薬を飲む。それが当たり前だと思っていた取材陣は面を食らってしまった。
「精神薬だけではなくて、カゼ薬なども本当に服用したほうがいいのかどうか、慎重に考える必要があります。カゼで鼻水が出るのは、ウィルスから粘膜を守るためだし、熱が出るのは体のなかでのウィルスの働きを弱めるためですから」。
ではいったい、薬とは何のために使うのか。
「諸症状が命に対してあきらかに不利に影響する場合にかぎって、きちんと薬を服用することは大切です。病気で体力が下がっているなかで高熱が続けば、生命そのものが危険になりますから。また、不安でしょうがないという人に対し、適切な治療を進めていくために精神を安定させる薬を使うことがあります」。
なるほど、薬は「症状があって使うもの」ではなくて、「治療を進めていく上での明確な理由があって使うもの」ということなのだ。
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