連載「不登校の歴史」
大河内清輝くんと連続して何人かのいじめ自殺が続いたあと、文部省は大量のいじめ防止パンフレットを発行、配布した。そこに、尖った鉛筆のデザインを登場させた無神経さなどについて触れたが、「緊急避難としての欠席」との項目があったのは評価できた。その項には「いじめを受けている児童生徒にはその後の学習に支障を生じないよう十分な措置を講じつつ、緊急避難としての欠席が弾力的に認められてよい」とあった。
「いじめがあってもくじけないで、登校するのが望ましい、登校拒否は学校復帰が前提である」という行政機関の指導が一般的であったから、欠席を認めたのは前進と言えた。しかし、緊急避難は「一時的」という意味であり、根本的な解決にはつながらなかった。
一時的に休んで、そのときはほっとしても、恐怖心や不安はつきまとい、二度と登校できない、または、する気が起きない子どもたちもいた。また、長く休んでいると、登校を催促されることになった。だから、ほんとをいうと、いじめ自殺を防ぐには、緊急避難の欠席でなく、「休んでよい」「学校以外を選んでよい」と述べられる必要があったが、ま、文部省は、そこまでは言えない。何年経っても言えないという現状はある。
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