
連載「精神現象」
2007年6月20日に、臓器移植法改正案が審議入りし、衆院厚労委に小委員会が設置された。次期国会で成立させる狙いがあるという。改正案として提出されているのは、次の二つだ。第一に、脳死者が生存中に拒否の意思を示していないかぎり、遺族の承諾により臓器を摘出できるようにする中山太郎(自民)案。第二に、臓器提供の意思表示ができる年齢を15歳から12歳へと引き下げる斉藤鉄夫(公明)案。
中山案は、ドナー(臓器提供者)の数を増やすことを目的としている。だが、この案によって脳死下の臓器移植が激増することはないと、断言していいだろう。なぜなら、脳死下の移植は、ドナーとレシピエント(臓器被提供者)がたがいに異なった共同体に属していることを、原則とするからだ。この原則について、少しくわしく述べてみよう。
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