連載「不登校の歴史」
もしかして、読者のみなさんのなかには、「鉛筆はデザインなのだから、いじめと関連づけて批判することはない」と思った人もいるかもしれない。しかし、いじめ対策のパンフレットに、こんなにも尖った鉛筆を何本も登場させたとき、いじめられた子やその親が、どんなにつらく感じるかを考えないとしたら、あまりに鈍感である。いや、鉛筆が、いじめの凶器になっていることを知らないのかもしれない、という人もいるだろう。それなら国の教育行政をあずかる役所が、あまりに怠慢である。
こんなパンフレットだったから、当事者の立場に立ったいじめ対策がどのくらい書かれているか疑問だった。ただ、これだけ大がかりに、国民にいじめについて広報するのは、初めてだった。86年のいじめ自殺報道の時には、その対策はなかった。そこで中味を紹介したい。
「基本的意識」として5点示され、まず「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」とある。それはそうだが、いじめられる者は弱い者という位置づけがすでにある。いじめられる子は、弱い子だろうか。
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