「行きたくない」とある朝子どもは言った。2年保育で幼稚園に入って1年目の冬のことだった。子どもが幼稚園に行かなくなるということに対して、私に心の用意はあった。しかし、この一言だけで子どもの真意はわからない。いやがる子どもを手を引っ張って連れていくということはしないと決めていた。
子どもの気持ちをたしかめるように、「お弁当が食べれるよ」「○○くんが待ってるよ」「今日は本を借りる日だよ」、と子どもが喜ぶことをわかっている言葉を並べた。「じゃあ、行く」と言って子どもは出かけた。こんな日が10日ほども続いて、毎朝の問答に私が疲れを感じ始めたころ、何を言っても「行く」と子どもが言わない日が来た。「今日は行かなくていいから」とようやく私は言った。
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