心の病を抱えた人たちの社会参加を支援するレストランが東京・調布市にある。その名も「クッキングハウス」。現在、調布市内に3カ所あり、精神科に通院する80名の老若男女がランチを提供したり、お弁当を配達したりと、地域に密着したかたちで、当事者からの新しい福祉文化の発信を続けている。今回は、クッキングハウスの代表である松浦幸子さんのインタビューを交え、1987年からスタートし、今年で20周年を迎えた同団体の活動を紹介する。
松浦さんが精神病患者の社会参加を支援する活動を始めたのは、ご子息の不登校がきっかけだった。
「息子が中学校に入ってすぐ、不登校になりました。私自身、学校の成績が非常に気になるふつうの親でしたから、『学校に行かなかったら大変だ』と毎日、右往左往する一方、自分の話を聞いてもらえないと感じた息子は、昼夜逆転になり、食べ物もあまり食べなくなるなど、急速に『生きる元気』を失っていきました。そのころ、田舎の母からの手紙で、本当にゆとりがなかったのは自分だと気づかされました。その瞬間、心の曇りが晴れ、息子の不登校から1年経って『無理して行かなくていいよ』と、心から言えるようになりました」。
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