今回は、弁護士の杉浦ひとみさんに、弁護士になるきっかけから、少年問題にとり組まれるなかで、感じられたことをうかがった。
――弁護士になるきっかけから教えてください。
たぶん、幼稚園のころに不思議な体験をしたのが契機だったとは思うんです。あれは夕暮れどきで、私が一人で遊んでいると、急に頭のなかにピッと電気が走るみたいに「自分の気持ちはわかるけれども、ほかの人の気持ちはまったくわからない」って思ったんです。ときどき、あのときの体験が頭をよぎるんですが、これが原点ですね。もちろん、最初はそれがなんだったのかはよくわからないのですが、年齢が上がるとともに思いが言葉になって「みんな自分が大事にされたいと思っているし、私も幸せに暮らしたい。だったら、みんなが幸せになれるように、余力があるときは、すこしでも力を使いたい」という思いが固まっていきました。それで、中学生のころには弁護士になろう、と思ってたんです。
――弁護士なられたのはいつごろですか?
30代の終わりごろですかね。志が早かったわりには遅咲きで(笑)。
子どもが生まれてからしばらくして、自分の力を試してみたいな、と思ったんです。ただ時間はないので、子どもと夫が寝ているときや出かけたあとに勉強していました。家事や子育てはそこそこ手を抜いてね(笑)。
若いころは自由な分、時間をムダに使ってしまうもんなんです。だから、主婦になって時間に制約があるほうが、やりたいことを見つけるにはいいかもしれないですね。
子育てってけっこう大変でしょ。子どもと一日中向き合ってたらくたびれちゃう。自分の持てる力を100%、子どもに与え続けていると、充実感はあるけれども、その分、イライラもします。自分が尽くした分の見返りを求めようとするのが人間ですから。
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