20歳のころ「もういい加減、働かないといけない気がする」という思いにかられてバイトを探していた時期があった。そのとき見つけたのはスーパーのたこ焼き屋のバイトだった。自宅からも距離的に通えるものだったので、思い切って応募してみた。
さっそく面接を、ということで、次の日お店まで行き、その場で「今日からできる?」と聞かれた。私は思わず「はい」と答えてしまった。この時点でかなりテンパっているのが今だからわかるが、当時の私はもう必死。言われるままに洗い物や雑事に追われて初日が終わった。
このとき感じていたのは、ひたすら疲労だった。「バイト怖い」とか「仕事いやだ」とか思う暇はなかったように思う。ガクリときたのは2日目からだった。
バイト2日目、レジの打ち方を教わり、売り子を担当することになった。とはいえ小さな店なので売り子といえどなんでもする。洗い物をしたり、容器を準備したり、大きな声で呼び込みもする。もう自分が何をしているのかわからなくなりそうだった。たこ焼きのタネを混ぜる大きな鍋を洗っていたときに「水使いすぎ、もっと工夫しなきゃ。水だってタダじゃないんだよ」と言われて、ギクリとした記憶がある。思えば、このあたりから失敗しないようにと極端に意識しはじめていたのかもしれない。
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