連載「ひきこもり時給2000円」vol.2
うちは会社員の父(昭和21年生)と専業主婦の母(同24年生)、それと僕という3人家族です。兄弟はいません。
父は7年ぐらい前に会社を定年退職して、両親はそろって母の実家がある静岡で暮らしています。いまは僕と両親の仲は良好そのものですが、僕が働けなかった時期は険悪でした。いや、険悪というのは少しちがうかもしれない。僕がほぼ一方的に親の言葉を恐れていたのだから。両親(とくに父)のことを避けまくっていたわけだから。
どんな言葉を恐れていたのか? もちろん、「これからどうするんだ?」、「親はいつまでも生きていないぞ」。基本的にこの2つです。親が投げてくる球種はあらかじめわかっています。ストレートかカーブ。ストレートでなければカーブだし、カーブでなければストレートです。
問題は、どちらの球種も僕にとっては拷問でしかなかったという点です。だから僕が取る選択肢はひとつしかありません。何か言われる前に逃げる。親との接触を極力避ける。これ、「兵法三十六計、逃げるに如かず」。食事はギリギリいっしょにとっていましたが、いつ、何の気まぐれで親(とくに父)がそれを持ち出してくるのではないかと始終ビクビクしていました。なかば無意識に昼夜が逆転し、家族と顔を合わせない生活へと突入です。
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