
ロシアを代表するオルタナティヴスクールのモスクワ国際フィルムスクール(以下MIFS)で国際大会が4月の中旬に開かれていた。日本からは発表者としてシューレ大学の朝倉景樹さんの招待され参加した。モスクワ国際フィルムスクールとその国際シンポジウムについて報告してもらった。
2006年4月にMIFSがいままでに出会ってきたロシア国内外の団体・個人に広く声をかけ、それぞれの活動を紹介し、意見を交換し合う国際大会を開いた。今大会はその2回目となる。
現在のロシアはソ連崩壊以来社会の混迷を深め、子どもも大人も何が正しいのか、どのように生きていったらよいのかわかりにくい社会なのだという。ロシアは自殺率がもっとも高い国のひとつになっている。そのような社会にあってオルタナティヴスクールでは、一人ひとりがどのように価値観を持っていったらよいのかという「オルタナティヴスクールでの価値観の構築」をテーマに大会が開かれた。大会は2007年4月11日から10日間開かれ、筆者はそのうち3日間参加した。
大会の参加者はMIFSがロシア国内でつながっているそのほかのオルタナティヴスクールなどの団体、個人だ。海外からはカナダから先住民の伝統を継承していく活動をしているグレン氏、タイで孤児たちの共同体を運営しているピ・ナート氏、日本からシューレ大学の朝倉景樹が報告者として招待された。会場は120人から130人ほど入るMIFSのメインホールを中心に行なわれ、MIFSの子ども、スタッフを中心に、親、OB・OG、講師などの関係者が参加した。この大会は、MIFSが招待した国内外からの参加者以外は基本的にはMIFSの関係者を対象にしたなかなかぜいたくな大会だ。大会は朝10時ころに始まる。まずは、音楽を学んでいる子どもたちの独唱あるいは合唱が発表される。MIFSでは、積極的に人前で発表する機会をつくっており、子どもたちにとってこのような機会が、音楽表現を磨いていく大切な課程になっている。音楽が終わると、毎日ドキュメンタリーやフィクション、アニメーションなど、さまざまな映像が紹介され、参加者からは感想や質問が製作者の子どもたちに寄せられる。それから夕食までが前半のプレゼンテーションの時間となり、ロシアあるいは海外からの報告者の発表と質疑応答の時間となる。夕食の後に同様の時間がもう一コマあり、一日の終わりは夜の8時から10時、遅い日は11時過ぎまで行なっていた。プログラムのなかの2つを紹介する。
読者コメント