日本国憲法の下で、一人ひとりの子どもの「育ち」を大切にする理念を掲げ、それなりの成果をあげてきた子ども法制が、音をたて崩れようとしています。過ちを犯した子どもの最後のとりでであった少年法は、2000年に「保護」から「厳罰」の方向に、教育への国家介入を許さず、子どもの「育ち」を大切にする教育基本法は、06年に国家介入の下での人材育成に軸足を移す方向に、それぞれ踏み出す改悪がなされました。そして今国会では、さらにこの方向が進められようとしています。
少年法については、第一に、児童福祉の営みを警察にゆだねる提起がなされています。今まで福祉が対応してきた14歳未満で犯罪にあたる行為をした子どもを警察に委ねる提起です。暗示を受けやすい幼い子どもへの取り締まりは冤罪をもたらし、強権的な取調べそのものが、子どもの心を深く傷つけます。また「問題の解明」を口実に、警察が家庭・学校・地域で情報収集をすることにもつながります。今回の改悪では、そうした事態を防ぐ工夫として、弁護士を付添人に選任できるとした以外は、まったくありません。もとの提案では「ぐ犯の疑い」のある子どもまで、警察に委ねようとしていたのですが、さすがにその提案は削除されました。しかし残された範囲でも、子どもの「育ち」とともに、私たちの生活への警察の介入の心配は拭えないのです。
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