株式会社立の学校ら17法人
年内に新提言を発表予定
バウチャーで変わる仕組み
"枠組み”支援から当事者支援
学校法人や学校を経営する株式会社などでつくる「新しい学校の会(旧・学校設置会社連盟)」が、教育バウチャー制度の導入を求め、11月21日に院内集会を開いた。下村博文議員(自民・衆)、福島伸享議員(民主・衆)らも参加。同会は06年に提言をまとめていたが、年内に提言をまとめなおし、発表する予定だ。同会によると、公立小学校には生徒一人あたり約90万円、公立中学校には約100万円の公費が支出されている。一方、私立学校にはその3割程度しか公費支出がされていない。
同会は公立学校と私立学校への支出差があることについて「同じ納税義務を負担しながら等しい助成を得られていない」と指摘。公立学校と私立学校への公費支出を、生徒数に応じて配分するよう提案している。
福井秀夫教授(政策研究大学院大学)は基調講演で「現在の教育制度は、いわば学校という枠組みを支援してしまっている。だからこそ、学校本位、枠組み本位の教育しか生まれない。これを保護者や学習を受ける当事者支援に切り替えていく。それによってよりよい教育が生まれてくるのは自明のことだ」と訴えた。
またシンポジウムで檜木俊秀氏(パソナ常務執行役員)は「バウチャーが導入されれば、国の教育支出11兆円から約1・7兆円が削減できる。財政削減と競争力導入による教育の向上。こういうわかりやすい指摘によって切り口を見つけられるのではないか」と話した。
一方、不登校などで家庭や居場所にいる子どもについての公費支出は、現状ではほぼゼロだ。同会は、新制度適応範囲を学校教育法が定める「一条校」のみとしており、フリースクールなどの居場所は適用外。ただ、同会理事長の日野公三氏(アットマーク・ラーニング)は「将来的には目指していきたい」と話している。
研修会には、中西茂氏(読売新聞)らも登壇。ブレーン・ヒューマニティーからは、寄付や協賛金によって個人に教育費を助成する「民間型教育バウチャー」の実践例が報告された。
研修会に訪れた下村議員は「画一的な教育は100年遅い。バウチャー導入によって初めて教育立国になっていく。一日も早い実現を目指したい」と述べた。
同会は、構造改革特区(03年導入)で設立された株式会社立学校が中心となって設立された会。特区で設立された学校は全国で63校。そのうち20校が加盟している。
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