2007年1月、東京都渋谷区の歯科医宅で、浪人生による妹殺害事件が起こった。短大生で芸能事務所にも所属し、その後はグラビアアイドルを目指していた妹から、「歯科医になるのは人のまねだ」「夢がないね」と言われたことが引き金だったという。殺害後に兄は、遺体を切断しながら、他方で予備校の合宿に参加していた。
この事件をめぐっては、猟奇的報道も相継いだ。その一つに、兄と妹とのあいだの近親相姦や、死体への関心を推測する記事があった。しかし東京地検は、異例のコメントにより、これらをすべて否定した。
それでは、二人のあいだには、たがいに憎しみの感情だけしかなかったのだろうか。そうではなく、かすかに惹かれあう気持ちがあったと、私は思う。妹が入学した短大は、兄が懸命にパソコンで探し、やっと入学期限にまに合ったものであることが明らかになっているからだ。また妹は、自分が短大に入って兄を追い越したことを気にしていたという。
読者コメント