不登校新聞

215号 2007/4/1

消費文化の暴力性、いじめの本質にも

2015年08月05日 17:01 by kito-shin



 2007年3月8日、NPO法人「前夜」セミナーBOOK『〈生きにくさ〉の根はどこにあるのか~格差社会と若者のいま~』の発刊を記念して、中西新太郎さんのトークセッションが開催された。中西さんは、現在の消費文化の持つ暴力性と「生きにくさ」が、どのようにつながっているかを話された。

 日本は消費文化がもっとも"進んだ”国です。マンガ、テレビ、小説など、私たちはごく当たり前に消費文化のなかを四半世紀以上に渡り暮らしてきました。この消費文化が担っている暴力性と現政府の政策のつながりなどについて、お話したいと思います。
 
 安倍政権が誕生し、「フリーター・ニート」などを対象とした再チャレンジ政策が打ち出されました。この再チャレンジ政策にこめられた考え方と消費文化の特質が、非常にフィットしていると言えます。

再チャレンジ 政策の意図

 
 再チャレンジ政策は実効性の疑わしい点がいくつもあげられます。まず、政策では約200万人のフリーター(厚労省統計)の2割減を掲げていますが、これは誰でも実現可能です。というのも、フリーターの定義が34歳までなので、3年後、フリーターでもっとも層の厚い人たちが35歳以上になるからです。ほかにも、ヤングジョブスポットの全国的な閉鎖や1割程度しか適用されてないパート労働者の厚生年金問題など、現実的な効果には疑問が残る政策です。
 
 しかし、この「再チャレンジ」という言葉自身が持つ意味は考える必要があります。「再チャレンジ」とは、「機会はあったけれども意欲や能力が足らずに失敗した人」に再度、機会を与える、という意味です。この「意欲と能力」という言葉は、昨年秋に発表された日経連の報告書『希望の国、日本』にもたびたび登場します。私は再チャレンジ政策をはじめとした政策を「自立支援型の政策体系」と呼んでいますが、この5年間で「意欲と能力」が問われる政策が幅広い領域で敷かれました。
 
 2002年に施行された「ホームレス支援に関する特別措置法」では、ホームレスの人が施設滞在するためには「自立の意欲」が認められなければなりません。また、昨年から、厚労省は一人親の生活保護世帯に支給される「母子加算」制度を段階的に廃止する方針を固め、代償措置として、月収3万円以上の世帯に就労促進費(月1万円程度)を支給する制度を検討しています。あらゆる場面において、「自立意欲」のある人にかぎり、支援する方向が強まっています。
 

いじめの本質

 
 もう一方で求められるのは「能力」です。東京大学助教授・本田由紀さんは、現在の「ハイパーメリットクラシー(超業績主義)」のなかで求められる能力は「対人能力・対人関係能力」だと指摘しています。
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