2011年10月11日、滋賀県大津市の大津中学2年生の男子生徒が、通学時間の午前8時ごろ、14階建ての自宅マンションから飛び降り、死亡した。
それから半年後、男子生徒の遺族がいじめていた同級生3人の両親を相手取って提訴したことを機に、大きく社会問題化していく。ここでは、男子生徒がどんないじめを受けていたかを紹介しておきたい。
男子生徒は、日常的に暴力を受けていた。ヘッドロックをかけられ、廊下でこけさせられた。それだけでも、男子生徒にとって学校がどれほどびくつくところであったかと思う。
チョークの粉をかばんにかけられたり、成績表を取られ男子生徒の前で破られたり、押し倒されて馬乗りになられたうえで顔にペンで落書きをされたりしたのだった。また、思春期の中学生にとって耐えがたいことだが、ズボンをひざまでおろされ笑われるなど、毎日のように続いたという。
そして、体育祭の時期には、さらにエスカレートしていた。ハチマキで手首を縛られ、口・すねに張り付けられたガムテープを一気に剥がすといった行為も何度も続いた。男子生徒はまったく無抵抗だったという。もう抵抗する力も心も奪われてしまっていたのだろうか、なされるがまま、というむごい状況だったようだ。
教師はなぜ気づかなかったのか。子どもたちはなぜ知っていても、黙っていたのか。いじめ自殺事件が起こるたび、同じ質問がくり返されるが、それは後のことだった。事態はさらに深刻になり、男子生徒は羽交い絞めにされ、身動きが取れない状況にされ、死んだハチを強引に口にねじ込まれた。
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