家庭で育つことを肯定的に捉え、情報提供や仲間との出会いを目的に、ホームシューレ活動を開始したのは1993年秋のことだった。(前号、1994年となっていたのは誤り)。
1年間の試行期間として踏みだし、中学生以上の子ども向けの月刊誌『ばるーん』と『親から親へのメッセージ』の2冊を全国21家庭に届けた。当初、冊子はすべて東京シューレ内の印刷機で印刷していた。第1号の表紙をきれいな青を使った二色刷りにしたのだが、封筒から取り出したとたん、手に青インクがついて顔や家具が汚れてしまい、抗議の電話があるなどの失敗もあったが、次々と会員が増えていった。
1994年の9月に財団から助成金を得て、わが国初のホームエデュケーション・国際シンポジウム「わたしたちはうちでやっていきたいの」を開催した。会場には有楽町の朝日ホールをお借りしたのだが、私たちの予想をはるかに超える920名もの参加者に、驚いたのと同時に、ホームエデュケーションに対する期待度を感じた。
開場前、会場から階段までズラリと並んだ参加者に、通行人が「今日は何か新しい映画が封切りになるのですか」と聞いたほどのにぎわいだった。受付の横では、『ばるーん』と『メッセージ』約1年分のバックナンバーをそろえた。従来の登校拒否運動から一歩踏みだした新しい時代の幕を開いていくような予感がした。
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