文科省は教師が子どもに対する体罰について基準を示す通知を出したと報道されました。これにより、どんな影響が出ると思われますか?
(本紙212号面参照)【編集部】
文科省は2007年2月5日「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」を出し、そのなかで「児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方」を示しました。
学校教育法11条では、いかなる理由があろうとも教師が児童生徒に体罰を行なうことを禁ずると明記されています
体罰とは、殴る、蹴るのほか、長時間正座や直立の姿勢を強制すること、放課後教室に居残りをさせてトイレや食事もさせないなど、肉体的・精神的苦痛を与えることです。
ここで問題なのは、その「考え方」が、教員の児童生徒に対する懲戒が体罰かどうかは諸条件を総合的に考えて個別に判断し、「児童生徒や保護者の主観的な言動」によって判断せず、「客観的に」判断するべきであるという点である。
そして、体罰の違法性を否定した二つの判例(東京高裁昭和56年4月1日判決・浦和地裁昭和60年2月22日判決)を引用しています。
東京高裁判決は「水戸五中事件」という有名な体罰事件です。
中学校2年生の男子(13歳)が女性教師に頭を殴られて8日後に脳内出血で死亡しました。当人は親にも先生に殴られたことを話さず、死後の解剖もされなかったので死因不明とされましたが、一審は級友たちの証言をもとに教師が当人のふざけを怒って頭を殴ったと認定、暴行罪で有罪としました。
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