今回は、子ども編集部企画第一弾「トキVSカラス」について執筆する。手厚く保護されているトキに対し、駆除され続けるカラス。おなじ鳥類でありながら、この待遇の差はどうしたものか。そこで、子ども編集部ではトキとカラスについて調べた後、鳥類研究がご専門で、カラス研究についても著名な樋口広芳・東京大学大学院教授に取材し、「愛されない鳥カラス」の名誉挽回のために立ち上がった。
トキとカラス
2002年に日本産最後のトキが死亡し、日本産のトキは絶滅したが、前後して、中国から借入したトキの繁殖に成功し、現在、佐渡トキ保護センターにて97羽が大切に飼育されている。
一方、カラスは大都市を中心に増加し続けており、都内では現在3万羽とも8万羽以上とも言われている。その増加にともなう人間との摩擦から「嫌われ者」として、多くのカラスが駆除され続けている。
待遇の差は?
「新潟日報」によると、2006年度のトキ保護センターの運営管理費には約8600万円が計上されているという。単純な計算だが、トキ1匹あたりの保護に約89万円が費やされていることになる。カラスはというと、02年の東京都の取り組みを例に挙げると、カラス駆除に約1億2300万円が計上されている。
日本野鳥の会の松田道生氏によると、その内訳は「罠のメンテナンスと移動」8900万円、「巣落とし」に1500万円、「生息数調査」に1800万、「雑費」に100万円となるという。それらをもとに駆除されたカラスは約1100羽で、カラス1羽を減らすのに約11万円かかったと試算している。
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