いじめを苦にした自殺の報道や国会での指摘を受け、文科省は実態把握を目指して、再調査を実施した。調査の結果、1999年度から2006年度の8年間で起きた14件の自殺については、いじめの事実を認めたが、「いじめを自殺の主たる理由」とするケースは3件にとどまった。これを受け、これまで発表していた7年間(1999年度から2005年度)のいじめ自殺件数を「ゼロ」から「2件」に修正した。今回の再調査などを受け、調査方法や「いじめ」定義の変更案なども発表された。
文科省が全国の公立の小中高校を対象に毎年実施している「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、2005年度のいじめ件数は2万143件(前年度比7・1%減)で、1995年度以降、減少傾向にある。また、いじめ自殺も1998年度から7年連続で「ゼロ」が続いた。同調査は、各教育委員会を通じて学校の「自己申告」を分析しているため、以前から調査方法や結果に疑問視する声があがっており、2006年の国会審議などでも指摘を受けた。
今回の調査では、これまでの児童生徒の自殺のうち、いじめ自殺の可能性があった件数をあらためて割り出し、可能性のある件については、いじめの有無や自殺との因果関係が再調査された。
その結果、いじめ自殺の可能性があったのは、1999年度から2006年度で41件。このうち、いじめが認められたのが14件。そのほかのケースは、「いじめがなかった」17件、「特定できない」6件、「再調査中・係争中」3件、「事故」1件であった。
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