1993年には、小中学生の登校拒否の児童・生徒数は7万5千人。すでに、増加をたどりはじめて18年も経っており、その間、一度も下降することはなかった。
この数字は、年間30日以上欠席の数をさしている。じつは、文部省は、1991年から調査対象となる年間欠席日数を変更した。それまで年間50日以上の欠席を登校拒否として計上させていたものを、年間30日以上に変更したのだ。「早期発見、早期対応」という考え方からだった。
そういう問題とちがうだろう、と私たちは思った。早期発見、早期対応すれば、登校拒否はもっと減るだろうというが、そんな問題ではない。これは、登校拒否を個人病理的にみるからこそ出てくる言葉だった。しかし、その後も登校拒否は増え続けた。その多くの子どもたちは在宅で過ごしていた。
日本社会は、在宅で成長することを認めない社会である。家にずっといると知識も社会性も身につかない、ひきこもりになる、心の病だ、と思われている。そんな価値観のなかでは、何万人もの子どもたちが、自己否定し、罪悪感という自責の念で苦しむことになる。
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