シリーズ「発達障害」


前号に引き続き、精神科医・高岡健さんのお話を掲載する。シリーズ「発達障害」は、今回を持って最終回。

――発達障害は労働問題としても、大きな問題になってますね?
 生産労働の面で、当事者が一番困っていることは何かといえば、コミュニケーション至上主義です。これにずいぶん縛られている。

 しかし、コミュニケーションはあくまで双方向のものです。表出面と受容面ですね。

 障害を持っている人の困難さには、うまく伝えられないという表出の面と、うまく理解できないという受容の面がある。それから、まわりの人が自分をうまく理解してくれないという面と、自分が相手をうまく理解できないという面がある。発達障害者には、それぞれの面で苦労があるわけですが、どの面で苦労しているかには、個人差があります。

 この困難さに対して、どう対処していくかと考えるとき、一番の根本はカミングアウトすることです。ディスクロージャー(=開示)と言ったりもしますが、自分の障害を上司や同僚に伝えることができるか。診断名だけではなく、コミュニケーション上の特徴をうまく説明できるかどうか。実際、悩み抜いたすえ、ディスクロージャーに踏み切っている人もいます。まず身近の同僚や上司の2~3人から始め、段階的に理解者を増やしていく。そのとき、職場の側も問われるわけです。ある程度ゆとりがないと、そういうことはできない。

 もちろん、うまくいくとはかぎりませんが、たとえば公的な職場や知的な職場だったら、むしろ言うことでプラスになります。精神保健福祉手帳や療育手帳を取得すると、かえって解雇しにくくなったりもする。

 ただ、いまは派遣労働や有期雇用が多いですから、それは大変です。職場が変わるたびにディスクロージャーしないといけない。それから多くの職場では、健常者と同じような仕事をすることが評価される。それが苦しいわけです。

――広く世間一般の理解が必要ですね?
 たとえば性同一性障害については、いま、意外と受けいれられやすくなっているんですね。これと同じかどうかは別にして、発達障害についても、受けいれられる素地はできつつあります。ただ、わかりやすさで言えば、性同一性障害のほうが理解されやすいでしょうね。発達障害の場合、一見、わかりにくいことがネックです。

 求められる雇用形態は?



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