不登校新聞

569号 2022/1/1

Mr.都市伝説が離島高校の生徒募集に奔走している理由【出願間近】

2022年01月11日 11:55 by shiko
2022年01月11日 11:55 by shiko


開校式に出るMr.都市伝説 関暁夫さん

 瀬戸内海に浮かぶ伯方島。今治市と尾道市を結ぶ「しまなみ海道」のほぼ真ん中に位置する島だ。「伯方の塩」と言えば誰もが一度は目にしたことのあるものだが、そこは人口6000人ほどの小さな島である。島内には小・中・高校(分校)が一つだけ。そんな小島の魅力に気がつき、分校の生徒募集に奔走しているのが都市伝説ブームの火付け役となったMr.都市伝説 関暁夫さん。



 2021年、関さんは愛媛県立今治西高等学校伯方分校の魅力向上を目的に作られた「放課後情熱学園」の校長に就任。2022年度から月1回程度、教育、芸能、文化など各方面で活躍する著名人を塾に招いて特別授業を実施する予定だ。昨年11月には、プレ授業として京都大学の先生を招き、南海トラフに関する授業を行なった。関さんはその縁から島に出向くようになり、現在では生徒募集に向けた広報も買ってでている。なぜ、関さんは伯方分校の生徒募集に精を出しているのか。



 「いまこの学校は希望にあふれているんです。タレントとか行政とか、そんな枠組みは関係なく、ゼロから学校を変えていこうとチャレンジしているんです。私も本気です。田舎だからというデメリットは消え去ろうとしています。都会にない魅力が、この島に揃っています。目の前には海が広がり、釣りもできるしイルカといっしょに泳げたりもする。造船業もあり働く大人の姿がそこかしこに見える。これからAIやデジタルの時代が進んでいきますが、お金を出しても学べないものがこの島にはある。デジタル時代になるほど貴重な学びがここにある。僕が本気になっているのは、今後、大人になっていく人たちに『一度はここへ来ませんか』と言いたいからです。ここへ来たら人生の選択肢が広がるよ。だから、いっしょに学びませんか。関もそこにいますよ、と。そう伝えたいんです」(関暁夫)



 伯方分校を守ろうとしているのは関さんだけではない。地域の人たちも伯方分校を応援しようと昨年5月に伯方分校存続支援対策協議会を立ち上げ、新入生のための寄付金を集めている。経済的な負担を減らすことで生徒を呼び込むためだ。こうした動きに呼応して地元今治市も強力な財政支援に乗り出している。

 寄付金は新入生(全国募集が対象)への寮費の補助金として支給される。伯方分校の寮に入るためには、月々の寮費(朝夕2食付き)6万2000円が通常は必要なのだが、補助金が適用されれば親の負担は月2万5000円へと減額。寮費の補助金は1年間だけでなく3年間支給される。(※補助金には申請が必要のため学校のHP等を参照して問い合わせを)。なお伯方分校では、希望者に昼食補助(給食)も提供しており、入学生を応援する制度が整っていると言えるだろう。

 なぜこのような制度があるかと言えば、昨年度と今年度の入学者数が少なかったためだ。来年度も入学者数が基準を下回れば再来年度には募集停止となる可能性がある。言わば廃校への扉が開いてしまうのだ。廃校の可能性があるからと言って、子どもたち自身は学校をつまらない、と思ってはいないようだ。伯方分校の淺野分校長は生徒たちからこんな声を聞いたという。


伯方分校の学生と海

 「生徒たちに聞くと、この学校のよさとして『アットホームさ』『自然の豊かさ』『特別活動の充実』を挙げる人が多かったです。『先生との距離が近く、質問や相談がしやすい』『先生が生徒一人ひとりにていねいに教えてくれるので、自分のペースで学ぶことができる』『学校行事とかでも、必ず主役になれる時間がある』と言っています。地域の方も温かくて、学校から帰ってくると町の人たちが『おかえりー』と声をかけてくれるそうです。寮生活と聞くと、厳しいイメージを持たれる方もいるかと思いますが、スマホやゲームが禁止ということもありません。休日は自由に過ごせます。そのなかで見る島の景色はいいものです。生徒たちは『登下校の途中で季節が変わるのを感じることができる』とも言っていました。学校から見える夕景は絶景ですし、夜は満天の星空が広がっています。見た人の人生観を揺さぶるような、そんな景色かもしれません。とくに自分を見つめなおしたいと思っている人には、いいところです。当然ながら学校に合う人、合わない人はいると思いますが、一つの選択肢になってもよい学校だと思っています」(淺野分校長)

 伯方分校への推薦入試(県内外)の出願期間は2022年1月19日午前9時から1月26日の正午まで。一般入試(県内外)の出願期間は2月10日から2月16日まで。関心がある場合は伯方分校まで直接問い合わせを。

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