不登校新聞

624号 2024/4/15

「40代で人生2度目のひきこもり」ひきこもり経験者が語るふたたび動き出すまでの出来事と気持ち

2024年04月10日 16:11 by kito-shin
2024年04月10日 16:11 by kito-shin

 祖父の死をきっかけに、体調を崩し、40代で「2度目のひきこもり」を経験したという岡本圭太さん。しかし、体調不良の原因は祖父のことだけではありませんでした。「2度目のひきこもり」を経験し、ふたたび動き出した岡本さんに、これまでをふり返っていただきつつ、現在の気持ちをうかがいました(写真は岡本圭太さん)。

* * *

――大きな出来事とは?

 2019年に母方の祖父に病気が見つかったんです。「もう95歳だし、いろいろあるだろう」と思いつつも、僕は「祖父が亡くなるのは親が死ぬよりもつらい」と公言していたほどのおじいちゃん子。できるかぎりのことをしようと決めて、週5日フルタイムの仕事をこなしながら、週末には静岡にある祖父の家と横浜の自宅を往復する生活が始まりました。

 ただ、最期の時が祖父に迫っているという事実は、僕の心身にとって大きなダメージを与えました。「身体に力が入らなくなる」、「疲れやすい」といった症状が出るようになり、いつも乗る電車に乗り遅れるなど、それまであたりまえにこなせていたことができなくなっていることに気がつきました。医師からは「軽度のうつ」と診断され、服薬治療も開始しました。治療の足場も固まり、就職して以来初めて、2週間というまとまった休みも取り、僕のなかでは「めどが立った」という感覚がありました。

 祖父は2020年3月に他界しました。悲しみはありましたが、できることはすべてやり切ったんだという納得感のほうが強かったです。祖父のこともひと段落し、コロナ禍という非日常をのぞけば、仕事もなんとかやっていけるかなと思った矢先、ふたたび身体の不調を強く感じるようになりました。ひどく疲れやすく、スポーツ観戦など好きだったことにも気力がわかない。仕事にも影響が出るようになってしまいました。認めたくなかった事実ですが「うつ」が再発したのは明らかでした。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「親子関係は?元気になったきっかけは?」3人の経験者が語る私の不登校とその後

625号 2024/5/1

「30歳を目前に焦っていた」就活失敗を機に大学生でひきこもった私が再び動き出すまでに取り組んだこと

623号 2024/4/1

14年の心理士経験を経てわかった「学校へ復帰するよりも大切なこと」

621号 2024/3/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…

622号 2024/3/15

「中学校は私にとって戦場でした」と語るのは、作家・森絵都さん。10代に向けた小…