不登校の要因をめぐり、教員・児童生徒・保護者の三者を直接比較した調査結果が公表された。不登校の要因として「いじめ被害」あげた教員と、児童生徒・保護者のあいだには、その認識に6倍以上の開きがあることが明らかとなった。
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公益社団法人「子どもの発達科学研究所」は3月22日、文部科学省の委託事業である「不登校の要因分析に関する調査研究」の結果を公表した。不登校の要因について、教員が回答する「問題行動等調査」のほか、児童生徒および保護者が回答する「実態調査」(20年度)があるが、両調査の結果に開きがあることが指摘されている。
今回の調査は、教員・児童生徒・保護者の三者の回答を直接比較する初の調査となる。不登校の要因について、「いじめ被害」を挙げた教員が4・2%だった一方、児童生徒は26・2%、保護者は29・2%と、教員と児童生徒および保護者の認識に6倍以上の開きがあることがわかった。
また、「体調不良の訴え」を挙げた教員は18・5%だったが、児童生徒は68・9%、保護者は76・5%と、教員と児童生徒・保護者間の認識におよそ4倍の開きがあった。「教職員への反抗・反発」を挙げた児童生徒は35・9%、保護者は44・7%だったが、教員は3・5%にとどまるなど、認識に10倍以上の開きが生じている項目もあった。
不登校の要因に「成績の低下」を挙げた児童生徒は37・9%だった一方、教員は12・9%、保護者は21・9%だった。また、「進路に関わる不安や問題」を挙げた生徒は27・0%だった一方、教員は9・7%、保護者は10・8%など、成績や進路をめぐり、児童生徒と教員・保護者間の認識にも約2倍の開きがあることが新たに明らかになっている。
文科省が調査項目を見直し
調査結果を受け、文部科学省は3月26日、「問題行動等調査」における調査項目を23年度から見直すと発表した。これまでは教員の認識を基準に集計していたが、「いじめの相談があった」、「教職員との関係をめぐる相談があった」など、事実ベースで回答することになる。
また、回答にあたっては、児童生徒や保護者、スクールカウンセラーへの確認を推奨するとしている。また、教員と児童生徒の認識の差が生じることについて、児童生徒への定期的なアンケート調査も実施するとしている。(小熊広宣)
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