不登校新聞

264号(2009.4.15)

論説「子どもへのまなざしを問う」

2014年04月03日 12:39 by 匿名
2014年04月03日 12:39 by 匿名


 5月から刑事裁判の裁判員制度が始まる。これは欧米で発展した市民参加の陪審制度とは異質のものである。司法官僚である職業裁判官と市民の裁判員による非公開の評議で有罪・無罪と死刑を含む量刑が判断される。しかも、評議の内容は秘密だ。裁判員が職業裁判官にコントロールされるのをチェックする方法はない。その実質は民主的な「市民参加」とは似て非なるものである。

 そもそもこの制度は市民の要求から成立したのでもなく、法務省、最高裁判所の官主導で進められ、市民のあいだではいまだ概ね不人気である。昨年各地で模擬裁判が実施されたが、年末に一年を表す漢字に「変」が選ばれたので、川柳一句「『変』なもの裁判員の猿芝居」が思い浮かぶ。

 見過ごせないのは、14歳以上であれば、少年も殺人、傷害致死などの重大事件で家庭裁判所で刑事処分相当と判断されると、裁判員制度による刑事裁判を受けることである。裁判官3人、裁判員6人が居並ぶ法壇の前に14歳の少年が引き出され、傍聴人が詰めかけた公開法廷で検察官、弁護人らの尋問にさらされる光景は異様ではないだろうか。
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