不登校新聞

267号(2009.6.1)

ますます追いつめられる母親 青木悦

2014年07月17日 11:01 by nakajima_


 いま32歳の息子が15~16歳のころのことだから、ずいぶん前のことになる。朝、仕事に出る準備に忙しい私に、食卓でパンを口にいれながら息子が言った。「今日も講演?」。「そうよ」と答えると、「どうせまた、子どもの成績をとやかく言ってはいけません、なんて言うんでしょ」と言う。

 その言い方に反発を感じたのでつい私もムッとなって「そうだけど……」と言った。すると彼はシラけた表情で言った。「ほら、全然わかってない。悦ちゃん(私のこと)は、自分は息子を成績で責めたことはないと思い込んでるんだから。ボクが小5のときだよ。苦手だった算数が上がって、ちょっと得意で、通知票を見せたんだ。そしたら悦ちゃん、一言も文句は言わなかった。だけど、じっと全体をながめて、深いため息をついたんだ。算数が1こ上がったぐらいじゃダメなんだ、ほかのはいつも通りひどかったから……。キズついたよ」。

 私にはまったく記憶がなかった。たしかにいつもため息ばかりの通知票ではあったから。ただ、親のため息にもキズついて、それを何年も覚えている、そんなことにも気づかなかった自分を知らされた。「ごめんねー」と言うと、息子は「いいえ、どういたしまして」と、皿を運んでいった。その日の講演は何ともグチャグチャのグチのようなものになった。

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