不登校新聞

405号 2015/3/1

侍学園・長岡秀貴さんに聞く「自分で生き方を決める学校を」

2015年02月26日 16:56 by koguma
2015年02月26日 16:56 by koguma


 2月28日より全国順次公開中の映画『サムライフ』。元高校教師の長岡秀貴さんが自ら学校をつくるまでの半生を描いた作品だ。映画を観た感想から今後の夢など、「侍学園」を立ち上げて10年を振り返りつつ、お話をうかがった。

――映画『サムライフ』を観た感想について「過去の自分に嫉妬した」とおっしゃっているのが印象的でした。
 2004年に「侍学園」という学校を立ち上げたんですが、当時は学校をつくることが目的でした。「できるかできないか」じゃなくて「やるかやらないか」だったんです。
 
 あれから10年経った今、いろいろなことができるようになったけど、気づかされちゃったんですよね。あれ、できなくなっていることのほうが多いんじゃないかって。
 
 僕は打ち上げ重視の人間だから、事あるごとにみんなで集まって乾杯するのが好きなんです。自費出版の本を1000冊売り切ったお祝いにみんなでビールを飲むとか、映画に出てくるシーン、そのまんま。ただただ真っ直ぐだったなって思うし、そういう打ち上げを最近できてないな(笑)。
 

10年前の自分に負けたくない

 
 立ち上げてからもいろいろありましたからね。漏電が原因で火事になり、引っ越しを余儀なくされたこともあった。全国からたくさんの支援を受けて再スタートできたので本当にうれしかったんですが、いろんな人に支えてもらえている学校になったおかげで僕自身が責任を強く感じるようになってしまって。
 
 というのも、まわりを見ると、年間決算2億円なんていうNPOがポコポコ出てきて、しかも代表は僕より年下。「そこを目指さなきゃいけないのかも」って悩んだ時期もありましたね。ただ、そうなったらなったで、いろんな事情から自分のやりたいことがスムーズにできなくなるジレンマもあるわけで。
 
 当時のそういう葛藤とか、あとはめちゃくちゃうまかったビールの味とか、もろもろが強烈によみがえってきて。なんていうかな、金づちで殴られたような衝撃だったんですね。それと同時に、10年前の自分たちには負けたくないって思いが新たに出てきましたよね。

――そもそも、なぜ学校をつくろうと思われたのでしょうか?
 人間が生きていくには「家庭」のほかに「学び舎」という場が必要だと思うんです。僕は世界規模で見たとき、日本の教育はすばらしいものであると思っています。でも、そこにマッチングできない子どもがいるのは当たり前で、無理やり学校に戻そうとするのはおかしいんじゃないかって。「じゃあ、どうすりゃいいんだ」と聞かれたとき、「これがあります」と答えられるもの、それがこの学校だったんだと思います。
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