連載「ひきこもり時給2000円」vol.42
ひきこもりの講演会に「答え」を求めて参加される方もいるかと思います。かく言う僕もその一人で、「ひきこもりの高年齢化」をテーマにした講演会に出かけたことがあります。講師は精神科医の斎藤環さん。このテーマに早くから警鐘を鳴らしていた専門家の口からどんな答えが飛び出すのかと期待していましたが、がっかりしました。期待した答えは何も得られなかったからです。いや、正確に言うなら、斎藤環さんといえども明確な答えを持っているわけではない、ということに気づいたのです。ま、そりゃそうだ。「高年齢化」ってひきこもりにおける最先端の課題なんだから、そうかんたんに「答え」が見つかるわけがない。
答えとまではいかなくても、何がしかのヒントはどこにあるんだろう。それは講演会の舞台ではなく、たぶん客席のほうにある。最近、そう思うようになりました。
先日、新潟県三条市で行なわれた「ひきこもりフォーラム」に講師の一人として登壇しました。150人超の来場者で活気あふれるなか、僕がいちばん可能性を感じたのは、「みんなで話そうひきこもり会議」と題した第2部です。参加者からの質問をもとに、講師3人と会場全体でそれぞれの思いや取り組みを話していくという企画です。
あるお父さんからの質問に、講師陣は明確な答えを出せなかったりします。すると、地元で活動する家族会の方から「こういうやり方があるんじゃないか」という声が上がる。
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