不登校新聞

320号(2011.8.15)

【公開】発達障害当事者連載「“自閉症スペクトラム”から見える世界」

2014年08月01日 10:44 by kito-shin

 「自閉症スペクトラム」当事者である小道モコさんの連載を今回から隔号で始める。

眼からはいる情報は安心感につながる

 
 私の脳機能が、自閉症スペクトラムというカテゴリーに入ると知ったのは、約6年前です。物の見方が、多くの人々とかなりちがっているということを知り、その視点に立つと見えてくることがたくさんあって、自分を知るのがおもしろくなりました。



 私は視界でモノゴトを捉え、考えます。視界に入らないことを(目で見られないことを)考えるのは苦手です。スケジュールを確認するときは「昼食」「休憩」を忘れず計画にいれるようにしています。飲まず食わずで仕事をしてしまうことがあるからです。段取りを目で確認しないで何かをし始めると、やるべきことを見失って、そのときやらなくてもいいことに没頭してしまうことも多いです。視界に入るモノで思考が働くので、集中しなければならないときは、必要な物以外のモノが目に入らないように気をつけています。
 
 現在は、各地でお話をするという仕事が加わり、視覚情報の大切さをあらためて痛感しています。たとえば、お話をする場所(建物)の外観をインターネットで見ることができると、落ち着いて講演の計画を立てることができます。建物の外観なんて、お話をするという仕事に何の関係もないような気もしますが、見ておくと、私の気持ちのありようはまったくちがいます。たとえ一枚の写真でも、見ることができると、不安が減り、先のことを考えられるようになるのです。インターネットという便利な道具が自由に使える時代でよかったです。調べたらわかる、見て確認できる、というのは大きな安心感につながります。
 
 「クチで言われてもわからないけど、紙に書いてもらえると、非常によくわかる」という経験も多いです。耳で捉えた情報は、空気中に分散してどこかへいってしまう感じで、目で捉えた情報は、脳の引き出しにいれやすい感じがします。
 
 自閉症スペクトラムと言っても、10人いたら10通りの特性があるので、私が表現していることが、すべての自閉症スペクトラムの人々に当てはまるわけではありません。私は私の物の見え方、考え方、捉え方、を表現しています。でも、これを手掛かりに、みんなが自分について、考えるきっかけになったらうれしいな、と思っています。

小道モコ(こみち・もこ) 
1970年生まれ。30才をすぎてから「自閉症スペクトラム障害」の診断を受ける現在は、英会話を教えながら、執筆、講演活動を行なっている。おもな著書に『あたし研究 自閉症スペクトラム~小道モコの場合』(クリエイツかもがわ)がある。

 
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