不登校新聞

574号 2022/3/15

ウクライナとロシア、両国のフリースクール関係者が伝える今

2022年03月14日 15:45 by kito-shin
2022年03月14日 15:45 by kito-shin

 2月24日、ロシア軍によるウクライナ侵攻が開始された。社会学者で雫穿(てきせん)大学代表の朝倉景樹氏は、ウクライナとロシア両国にあるフリースクール・オルタナティブスクール関係者に連絡を取り、双方の関係者よりメッセージが送られてきたという。突如として始まった戦争のなかで子どもたちはどうしているのか。日々のようす、両国民の思いなど、現地から届いた報告を掲載する(※写真はイメージです)。

* * *

ウクライナ 現地からの声

 今朝2回爆発があり、家々が激しく揺れました。子どもたちがいたので、パニックにならないように寄り添いました。でなければ、私がパニックに陥りかねなかったからです。そして、子どもたちの涙に対応するのに忙しかったのです。上空では飛行機の通過する音やロケットが飛んでいくような音を何回か聞きました。聞いたことのないとても不気味で背筋の凍るような音でした。大勢の人たちが道に出て安全な場所を探しています。ATMは動いていません。ガソリンもかぎられ、ガソリンスタンドには見たことのない長さの列ができています。

 これが今の状況です。これからもっとひどくなるかもしれません。多くの家族が国内に留まるべきなのか、逃げるべきなのか迷っています。思い出の詰まった家を捨て、最低限必要なものだけを持って逃げるべきか。それは故郷を裏切ることになるのか、それよりも家族の安全をまず優先すべきなのか。しかし、私たちはどこへ行くことができるのか、生活はどうなるのか、支え合ってきた人たちと離れて生きていけるのか、わからないことがたくさんあるのです。(2月24日/ウクライナ・ビニツァ在住のフリースクール関係者/翻訳・朝倉景樹)

ロシア 現地からの声

 ウクライナの大統領がロシア国民に反戦の意思表示を動画で呼びかけていました。たしかに、この戦争はロシア国民の総意ではありません。ウクライナにはウクライナ語を話す人もロシア語を話す人もいます。ソ連時代に一つの国であった時間も長く、人の交流も多かった両国です。おたがいにルーツを持っている人が多い両国です。

 あるロシア市民は、今回の戦争について、こう言っています。「ほとんどのロシア市民はショックを受けています。昨日、科学者、俳優、映画監督、アニメーション監督、作家、ビジネスマンなどが公開抗議文を発表しました。ロシアの各都市で抗議集会が開かれ、多くの人が逮捕されました。オルタナティブスクールの関係者の1人も逮捕されました。ロシアがこの戦争を始めたと世界中は見るでしょう。しかし、市民は戦争を望んでいません。反対しています」。ウクライナやロシアの友人たちは、何が起きているのかを海外の人に知ってほしいと言っています。どうぞシェアしてください。(2月27日/ロシアのフリースクール関係者/翻訳・朝倉景樹)※一部、編集部が要約。

関連記事

「不登校の要因はいじめ」子どもと教員、認識差に6倍の開き

624号 2024/4/15

東京都で2万円、富山県で1万5千円 全国の自治体で広がるフリースクール利用料の補助のいま

622号 2024/3/15

「不登校のきっかけは先生」、「不登校で家庭の支出が増大」約2800名へのアンケートで見えてきた当事者の新たなニーズ

619号 2024/2/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…