不登校新聞

327号(2011.12.1)

体罰と暴力を問う 多田元

2013年12月20日 18:07 by kito-shin
2013年12月20日 18:07 by kito-shin


 戸塚ヨットスクールの映画「スパルタの海」が上映された(本誌326号)。戸塚ヨットスクールを支援する会のホームページの映画案内には、「石原慎太郎都知事の推薦、暴力か、体罰か」の文字が躍り、戸塚ヨットスクールのホームページには戸塚宏氏の「体罰で問題児の8割は直せる」との言葉がある。しかし、戸塚ヨットスクールの「体罰」の言葉は、マスコミも含め、極めてあいまいな意味合いで用いられ、いかにも正当な教育目的があるような漠然たる印象を与える。

体罰禁止は明治から

 「体罰」の言葉のルーツは、明治時代に学校教育の懲戒に関して用いられたときに見出されるという。1879年(明治12年)の自由教育令(日本教育令)で、「学校においては生徒に体罰を加えるべからず」と体罰禁止が定められた。それが議論された元老院の議事録には「体罰の珍なる字は英語でcorporal punishment(身体の罰)の訳である」という趣旨の発言が見られた(発言者は教育令の推進者・田中不二磨)。当時、体罰は新語だったわけだ。
 
 体罰はもともと懲戒の方法として、身体に苦痛を与える罰を意味する。一般に懲戒は一定の支配・被支配の身分関係のなかで支配、管理する側が紀律維持や教育の目的をもって違反者に対して行なう制裁である。子どもに対する懲戒には、教師の児童生徒に対する懲戒、少年院や児童福祉施設などの管理者による収容者に対する懲戒、家庭で親(親権者)の子どもに対する懲戒がある。そして、体罰は、それらの懲戒の方法のひとつであるが、日本では学校体罰の全面禁止は、明治の昔から現在の学校教育法まで受け継がれている。

体罰の実質は暴力

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