福島市に「帰って」から半年がすぎた。はじめの1カ月は引っ越しの片づけに明け暮れた。夏には以前から入っていた岡山、大阪、神奈川などの講演会に出かけた。大津市で「いじめ」事件がクローズアップされていたため、質問や視線の量も増えた。あちこちにまだ段ボールが開かれないまま存在するという、まるで倉庫のようななかですごした。
そんななか、時間を見つけては、東京では味わえなかった土を耕す作業をした。10年ほど前に母が腰の骨を折り、それから庭は荒れていた。土を掘ると大きな石が出てきて、夫はスコップよりもツルハシを握ることが多かった。荒れていたぶん、小鳥が運んだと思われる山野草があちこちに咲き、私はそれがとてもうれしかった。
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