不登校新聞

600号 2023/4/15

まずは「辞め方」から知っておこう 不登校からアルバイトを始めるコツ【全文公開】

2023年04月10日 15:37 by koguma
2023年04月10日 15:37 by koguma

 高校生年齢を迎える不登校の子どもにとって、アルバイトができるようになるというのは、とても大きな変化です。不登校からのアルバイトという一歩を踏み出す際、親にとってできることは何か。それは、「アルバイトぐらい気軽に」「あれこれ考えるより、まずは動いてみよう」という声がけではありません。不登校からのアルバイトにおいて、大事な事前準備とコツをご紹介します(※画像はイメージです)。

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新年度を迎え、高校生年齢になった子どもは、アルバイトができるようになります。このとき、「学校へ行かないなら、アルバイトをしなければ」と焦ってしまう場合があります。そこで今回は「不登校からのアルバイト」をめぐり、事前準備やコツなど、不登校経験者の話をふまえて考えます。

まずは「辞め方」

 アルバイトを始める際、まず考えるべきは「アルバイトの辞め方」です。なぜなら、「アルバイトの辞め方」を知ることは、非常口の確保につながるからです。映画館や劇場など、もしもに備えた非常口があることで、私たちは安心してその場所に長時間滞在することができます。アルバイトも同様です。もしもに備えて、「アルバイトの辞め方」を事前に知っておくことが、アルバイトに挑戦する際の後押しの1つになります。

 本紙ではこれまで、不登校経験者のアルバイト体験談を数多く取材してきました。彼らの多くが実体験を通じて培ってきた「アルバイトの辞め方」のコツを2つ紹介します。

 1つめは、「辞めると切り出すタイミングを知っておく」こと。法律では2週間前に辞職の申し出をすればよいと定められています。2週間という目安を把握しておくことが重要です。

 2つめは、「辞める理由を考えておく」こと。ポイントは、ポジティブな理由を挙げること。たとえば、「進学することになった」や「資格試験に挑戦する」などです。たとえ、それがウソであったとしても、本当の理由を話そうとしてつらくなり、自分を責めてしまっては、元も子もありません。仮にその職場が自分に合わなかったとしても、ほかでも働けないかと言えば、そんなことはありません。

不登校経験者が語るアルバイト

 不登校経験者のAさんがアルバイトをしようと思い、無料で配布されている求人誌を読みあさることから始めました。しかし、どれもしっくりこない。そんなとき、「実際に見に行ったら?」という母の一言がきっかけとなり、近所のスーパーでアルバイトすることになりました。「接客業なんて無理」と考えていたAさんは「スーパーで働く人のようすを見て、ここならば」と決心したそうです。このように、候補先を自分の目で見ておくということも大事なコツの1つです。

 20歳になり、「働かないと」という焦りから近所の飲食店でバイトを始めたBさん。失敗することを恐れるあまり、店長と相談のうえ、3日でバイトを辞めてしまったとのこと。当時について、Bさんは「2カ月くらいご飯の味がしないほどつらかった。時間が経つにつれて元気になったけど、ちょっと突っ走ってがんばっていたかな」とふり返ります。アルバイトへの焦りは年齢からくる場合もあるので「焦りを起点に動き出さない」ということが重要です。補足ですが、バイトを3日で辞めたBさんも、その後は資格を取り、常勤職員として働いています。「バイトができない・続かないイコールどこでも働けない」ということではないことをくり返し述べておきたいと思います。

 親のなかには「アルバイトぐらい」、「考えるよりも動いたほうがよい」などと考えてしまう方もいるかもしれませんが、「不登校からのアルバイト」をめぐり、上述の事前準備と、いくつかのコツを子どもと共有するというのも、親にできることの1つです。(編集局・小熊広宣)

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