不登校新聞

521号 2020/1/1

野田虐待死事件と練馬事件に共通する「欠けた視点」【2019年をふり返る】

2019年12月25日 12:14 by kito-shin
2019年12月25日 12:14 by kito-shin

 2019年は、1月24日深夜、栗原心愛さん(10歳・小学4年生)が千葉県野田市の自宅で父親の虐待により死亡しているのを発見された衝撃的な事件から1年を通じて子どもの虐待防止に関心が高まった年であった。

 2018年の全国児童相談所児童虐待相談件数は15万9850件と過去最高を更新した(厚労省速報)。

 1990年に初めて発表された虐待相談件数は1101件で、以後増加を続けているが、これは虐待の増加を意味しているのではなく、虐待の「発見数」が増加しているだけで、虐待が認知されないままにすごされた子どもはさらに多く存在していると推定すべきであろう。

 見すごされた悲惨な例のひとつが心愛さんのケースであろう。心愛さんは小学校で「お父さんに暴力を受けています……、先生どうにかできませんか」と悲痛な訴えを書いて、児童相談所に約50日間、一時保護された。

 それにもかかわらず、その50日間に心愛さんと信頼関係を築き、対話し、子どもの視点に立って彼女の言葉を代弁するというケースワークがなされなかったことが致命的なミスであると思われる。

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