不登校新聞

542号 2020/11/15

フリースクールも保健室もダメ、私は私の不登校理由がわからない

2020年11月15日 13:31 by shiko
2020年11月15日 13:31 by shiko

 今回執筆いただいた、ぱっちんさん(ツイッター・@paccchin4)は、自身の不登校に「理由がない」という。当時や今の思いを書いていただいた。

* * *

 不登校に関する本やブログなどで書かれている「不登校を乗り越えた」という言葉に、私は違和感を感じるときがあります。それは、きっと私が理由のない不登校を経験しているからだと思います。

 私は小学1年生のときに不登校になりました。不登校になった当時、まわりの人から「どうして学校に来ないの?」とよく聞かれましたが、自分でも学校へ行けない理由がわかりませんでした。

 思えば、幼稚園のころから行きしぶりはじめ、そして、流れるように不登校に。親の仕事の都合で小学2年生のときに転校し、環境の変化で少しだけ通えるようになったものの、数カ月後にはまた不登校になりました。

 フリースクールや保健室登校を試みた時期もありましたが、どこも楽しくなく、結局通うことはできませんでした。

とくに学校へ行けなくなった理由もきっかけも、思いあたらないまま、私は高校まで不登校を続けました。

 しかし高校2年生のとき、ちょっとした変化が訪れました。「どうせ、自分には学校に通うのは無理だ」とあきらめ、通信制高校に転校したのです。

 きっかけは、ぼんやりと、これまでの自分をふり返ったときに「私は小学校も中学校も行けなかった。なのに、高校になったからと言って急に通えるようになるわけではないよな」と思ったことでした。

 「今までできなかったことは、きっとこれからもできない。だったら、できないことを無理にがんばるより、できることを見つけたほうがいいのではないか」と、自分に対して思ったのです。

 転校した通信制高校はほぼ自宅学習で、登校するのは週1~2日だけ。自宅でひとり、勉強を進めていくのは、たいへんではありましたが、毎日学校に通おうと努力することに比べると、ラクに感じました。

 また、高校とは別に美大受験用のデッサンや油絵などを習うため、私は予備校に通いました。予備校は、夜間のみと拘束時間が短かったおかげで、無理なく通うことができました。

 自分と同じように美術が好きな人たちが集まっているということもあり、クラスメイトも気が合う人が多く、楽しくすごせました。

 そして、そのまま私は美術系の大学へ進学しました。大学に進学してからは、人付き合いや授業の取り方など自由度が増したこともあって、私は不登校になることはなく、大学を卒業しました。

理由も自覚も

 私は小学1年生から高校1年生までの約10年間、不登校をしていました。しかし、いじめられたり、学校に不信感を抱いたり、不登校になったわかりやすい理由もなければ、不登校を乗り越えたという自覚もありません。

 ただ、なんとなく学校へ行かなくなり、予備校のように拘束時間が短かったり、大学のように自由度が高い環境であれば学校だったとしても自然と楽しく通っていた。それだけです。

 かつて学校へ行くことができなかった私は、今はなんとか、1人で生活をしています。1人暮らしをしているというと立派に聞こえるかもしれませんが、不登校だったときと同じようにできないことがたくさんあるままです。

 30代になっても、就職もできないし、結婚もできないし、友だちもつくれません。しかしその事実を認めたときにやっと、自分の生きやすい生活にたどり着けた気がしています。

 「どうして学校に来ないの?」という質問の答えを追いかけるのはやめて、できないものは、できないとあきらめ、その代わりに自分に合った環境を探していく。

 「どうしてみんなは毎日学校へ行けるんだろう?」 「どうして休みなく働けるんだろう?」と世間に対して疑問を抱いたり、ときには自分のポンコツさに少し落ち込んだりするときもあります。

 しかし、不登校を乗り越えず、強くもならないまま、社会の端っこのほうで誰にも知られず生きている今の自分が、けっこう好きだったりするのです。(不登校経験者・ぱっちんさん・33歳)

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