不登校新聞

542号 2020/11/15

安心してひきこもるために、僕が実践している5つのこと

2020年11月15日 13:31 by shiko



 僕は今でもひきこもり生活を続けている。ひきこもれば学校や仕事のしんどさから離れることはできるが、しんどさから完全に解放されるわけではない。

 今は仕方がないと思いつつも、将来への不安や社会への罪悪感で押しつぶされそうになる。

 そんな気分が晴れない日が続いていたある日、ひきこもり支援研究者・山本耕平教授が地元・長崎のフリースペースに来てくれた。

 前述のようなひきこもり生活への不安を山本先生にぶつけると、先生はニコッと笑って「安心してひきこもれ」と言った。言葉の意味が僕にはわからなかった。

 ひきこもり生活で安心できたことはない。「安心」と「ひきこもり」のふたつは矛盾していて、けっして両立はできないはずだ。

 そうは思っていたのだが、ひきこもりを続けるうちに、家にいても安心を手にいれられることを知った。

 そこで僕自身が実践していること、忘れてはいけないことを書き留めておきたい。もちろん、これは僕自身のことなので、ひきこもりは、かならずこうしなければ、というわけではない。

安心のために必要な五カ条

第一条「怒っても他人に怒りをぶつけない」
 怒ってもそれをすぐ他人にぶつけない。これまでの経験上、怒って問題が解決したことはない。怒りを爆発したこと自体に後悔をし、雑念をひきずってしまうからだ。親や家族に対しては、怒りをぶつけず冷静になること。

第二条「思ってくれる人が身近にいることを忘れない」
 ひきこもりでも自身を思っている人がいること、共感してくれる人がいることを忘れない。

 ひきこもりは孤立しやすいが共感してくれる人はいる。一方で家族や親戚など身近な人との対立はできるだけ避けたい。

 大きくなった怒りは家族どうしのケンカや家庭内暴力など心の削り合いになってしまう。謝ることも大事にしよう。

第三条「何かをしなければ、と思わない」
 焦る気持ちは大きなプレッシャーになる。「ひきこもった分だけ、いつか大成しよう」「一発逆転をしてやろう」などの気持ちを持たないこと。

 それよりも充分な睡眠と食事に重きを置く。ひきこもり生活は「ぼちぼち」でよい。また世間に対して罪悪感や負い目は感じなくてよい。他者の一人ひとりに意見を聞いたわけではないからだ。

 ネガティブな思考には気をつけること。ネガティブな思考は肥大化されやすく自分の心が押しつぶされてしまう。

第四条「ひきこもる意味を見つけようとしない」
 自分がひきこもることへの意味、生きる意味など考え出すと際限がない。今、生きているこの状況が精いっぱいなのだから、他人と自分は比較はしない。

第五条「安心を見いだして生きていく」
 毎日つらい思いのまま、ひきこもるより、安心をしてひきこもるほうがすごしやすい。ストレスを溜めず、安らぎのある生活はどこにあるのかと見出そうとすること。

  *  *  *

 以上がひきこもる生活のなかで見つけた「安心してひきこもるための五カ条」。これらを意識しながら僕はまた、自分の生活を送っていきたいと思っている。(ひきこもり当事者・中村秀治)

■中村秀治(なかむら・しゅうじ)
1986年生まれ。長崎県在住。小学5年生で不登校。著書に『おーい、中村くん―ひきこもりのボランティア体験記』(生活ジャーナル)。同書はAmazonや楽天などで注文可能。

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