不登校新聞

356号(2013.2.15)

第12回 薬剤使用の原則とは

2013年12月25日 15:01 by kito-shin
2013年12月25日 15:01 by kito-shin


連載「子ども若者に関する精神医学の基礎」

 前回、精神薬の「多剤大量処方」は、先進国のなかでも日本だけの悪弊だと言いました。今回紹介するのは、約10年前にイギリスの精神科医クックソンらがまとめた11項目の「薬剤使用の原則」です。

 一つ目は「昔から使用された、ごく少数の薬で治療せよ」。古い薬は効果が限定的で副作用も目につくので、医者も患者も敬遠しがちです。以前、「私が精神科医になった当初から現在まで使われている精神薬はわずか数パーセントしかない」とお話しました。

 とはいえ、開発から100年以上経過しているにもかかわらず、現在も使用されている薬もあるのです。次々と新薬が開発されては、すぐに忘れられていく過剰競争のなか、古い薬がなぜ生き残れたのか。その理由を考えていくと、正しい治療の方向も見えてきます。

薬の力で動けるようになっても

 「作用は副作用」でしたね。だから、誤解を恐れずに言えば、副作用はたくさんわかっていればいるほどいいのです。古い薬は多くわかっているからこそ、薬への過剰な依存を防ぎ、問題が起こっても対応がしやすい。それに意外な副作用の効用もあるのです。
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