不登校新聞

610号 2023/9/15

1週間で利用者4万人超「学校を休ませるべきか」と悩む親の助けとなるチェックリストが無料公開【全文公開】

2023年09月14日 14:50 by koguma
2023年09月14日 14:50 by koguma

 学校を休ませるという決断をするとき、判断材料となるものはないか――。そんな親のニーズに応える「学校休んだほうがいいよチェックリスト」がWEBで公開された。不登校支援にたずさわる3つの団体が作成、監修に精神科医も加わったもので、無料で利用が可能だ。公開から1週間あまりで利用者が4万人を超えたチェックリストとは、どのようなものか、解説する。

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 子どもが「学校へ行きたくない」と言ったとき、学校を休ませるか否かで悩む親の判断材料となる「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を不登校支援にたずさわる3団体と精神科医が共同で開発した。8月23日にWEB上で公開され、無料で利用が可能。9月5日現在、利用者は4万2000人を超えた。

質問は20項目 医師が回答を

 チェックリストは、通信アプリ「LINE」の公式アカウントを友達登録することで利用できる。質問は全部で20項目。「登校時間が近づくと頭痛・腹痛・吐き気など身体的な症状を訴える」、「週に1回程度は、遅刻や早退がある」、「過度に甘えたり、わがままになることがある」など、子どもの状況について「はい」か「いいえ」を選択する。

 回答を終えると、「休ませましょう」、「『不安なことある?』と聞いてみる」など、チェックリストを監修した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦さんの回答とアドバイスが表示される仕組みだ。

 また、チェックリストには「相談先を知りたい」という親向けに相談先の一覧を紹介しているほか、「子育ての正解に悩んだ母親の葛藤」、「学校を休みがちなわが子に親が取るべき行動」、「子どもの学年別に見る不登校のきっかけと対応、その後の変化」などのテーマに沿った、子どもや親の体験談をまとめたインタビュー記事も掲載している。

子どもの自殺 75%が学校復帰

 チェックリストは、子どもの学習支援に取り組む「キズキ共育塾」、オンラインフリースクールを運営する「Branch」、『不登校新聞』の3団体のほか、精神科医の松本俊彦さんが監修として加わり、開発したもの。

 そのねらいについて『不登校新聞』の石井しこう代表は「適切な休みを示唆すること」と説明する。また「不登校になることよりも深刻な問題は、休むべき時期に無理な登校を続けさせる『過剰適応』がつづくことで、うつ病や自殺などのリスクが高まる」と指摘する。

 2010年、松本俊彦さんの研究チームは、10代や20代で自殺した子どもや若者の半生を追う調査研究の結果を公表した。それによると、亡くなった子どもや若者の多くが不登校を経験しており、そのうちの75%が一時的に不登校になったものの、早い段階で学校復帰をしていたことが明らかになった。松本俊彦さんは「不登校は子どもが生き延びるための戦略であると大人が捉えることが重要。不登校はときに必要です」と語る。(編集局・小熊広宣)

学校休んだほうがいいよチェックリスト

【使用方法と注意点】
①通信アプリ「LINE」にて公式アカウント「学校休んだほうがいよ」を友達登録する(下記QRコードからも可)。
②20項目の質問について、親から見て「子どもにこの1カ月以内に起こったこと」を、親の主観をいれずに事実ベースで回答する。

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