「不登校と父親」のテーマで自分と息子たちを語ろうとすると、独特なほろ苦さを伴う気分が胸の底からゆらゆらと湧きあがる。長男が中学1年の半ばから学校へ行かなくなってから22年、3年下の二男も中学1年で学校へ行かなくなって約19年が過ぎた。長男はいじめに苦しみ、二男は丸刈り強制や教師の体罰が横行する学校に呆れて「学校に行く暇がない」と家で漫画製作にとり組んでいた。長男は89年に弁護士を始めた親父の法律事務所のスタッフになり、98年の全国不登校新聞社創立後は名古屋支局の仕事もして10年になる。二男は漫画家を志し、不登校新聞創刊号から10年漫画「森の喫茶店」を連載している。息子らと過ごした歳月をふり返ると、学校へ行かないことに心配し、悩み、葛藤したあの苦しみはいったい何だったのか。
長男は本紙「ひといき」欄の執筆を担当しているが、素直な文章でさらりとイミシン(意味深長)な表現をし、独自の世界をもっていることを感じさせられる。二男も漫画で独特のユーモラスな世界を展開している。息子らの不登校で葛藤していた当時の私には想像もできなかったことだ。
このようなことは不登校を過ごした子どもを見守った多くの親が体験することだろう。まさに「心配しないで不登校」、「不登校はこわくない」だ。
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