不登校新聞

341号(2012.7.1)

漫画『沈黙の艦隊』作者 かわぐちかいじさんに聞く

2013年08月22日 16:29 by kito-shin
2013年08月22日 16:29 by kito-shin


 
今回のインタビューは漫画家・かわぐちかいじさん。取材によって、かわぐちさんの娘さんも不登校だったことがわかり、当時の心境もお聞きすることになった。

うちの娘も不登校だったんだ

――かわぐちさんが漫画をつくるときは「自分のなかの不安な感覚を題材にする」と発言されていますね。
 なにかを知りたいと思う動機は、不安感が一番、大きいんじゃないかと思うんです。いろんなタイプの人がいて、一概に言えませんが、自分の場合はそうです。
 
 たとえば『沈黙の艦隊』(1988年~1996年)を描いたときは、世界を二分した東西冷戦(1945年~1989年)が終わろうとしていたときでした。社会主義が崩れてソ連が崩壊し、今後は権力がアメリカに一極化される。そうなるとアメリカとの関係はどうなるんだろうか。僕だけでなく日本中に漠然とした不安感が広がっていました。ならばアメリカとの関係をもう一度見つめ直せるような漫画を描きたい、と。それで原子力潜水艦を素材にした漫画をつくったんです。
 
 不安でいても立ってもいられないという気持ちと漫画を描きたいと思う気持ちは、ほとんどいっしょです。というのも、漫画を描くなかでわかってくることが多いからです。漫画を描くためには、当然、いろいろなことを考えますし、取材もします。そういう過程のなかで不安感の根っこと向き合い、不安の原因探しをしていく。そうすると描く前は「もしかしたら」という思惑だけだったのが、描くなかで不安感の根っこが見えてくるんです。
 
 それは漫画だけじゃなくて、たとえば家族のこともそうです。たとえばうちの娘も中学校のとき不登校だったんです。 

 

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「発達障害の子どもの進路を考えるために」親子で知っておきたい3つのこと

625号 2024/5/1

「不登校の子どもが1歩を踏み出すときは?」『不登校新聞』代表が語る心が回復する4つの過程

622号 2024/3/15

「不登校からの高校選びに迷っている親へ」現役校長が語る高校選びの際に役に立つ4つの極意【全文公開】

620号 2024/2/15

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

626号 2024/5/15

旅人「キノ」がさまざまな国を巡る『キノの旅 the Beautiful Wor…

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…