連載「精神現象」
2007年6月1日に、教育再生会議の第二次報告が公表された。この会議を構成する「有識者」の名前を見るにつけ、嫌な顔ぶれだという感想を禁じえない。財界人のほかは、学問が好きなのか名誉が好きなのか分からないような学者や、みずからの狭い経験を嬉々と語ることしかできないメンバーで、固められているからだ。
有識者会議を利用する政治の始まりは、中曽根政権にまで遡る。もっとも、中曽根時代の審議会政治は、まだ法律に根拠を持っていた。いまの安倍政権による有識者会議は、私的諮問機関だ。このあたりについては、6月11日の毎日夕刊が取り上げていた。記事のなかで、斎藤貴男氏は「社会的に成功しただけで専門性もない人が、個人的経験だけでものを言う」と指摘している。吉武輝子氏も、「国民の意見を聞いた言い訳に使うのはおかしい」と述べている。国民の意見を聞くなら、何はさておき、硬直した義務教育システムに苦しむ子どもや、希望者全入時代の大学生から意見を聞くべきだ。ところが、政府はもとより、再生会議には、子どもや学生の声に耳を傾けようとする姿勢が、まったく存在しない。
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