"次の一歩へ、生活できる場を”


 NPO法人越谷らるごは自立援助ホーム「ゆらい」を4月1日にオープンした。「生きづらさを抱える子も生活の場があれば次の一歩を考えられる」という増田良枝さん(越谷らるご代表理事)らの想いが10年越しに実り、フリースクール発の自立援助ホームが誕生した。

 「越谷らるご」の母体は1990年に設立された「フリースペースりんごの木」。2001年に「地域の教育を考える住民の会~越谷らるご」と「りんごの木」がいっしょになり「NPO法人越谷らるご」を創立。越谷らるごは埼玉県越谷市を活動拠点とし、フリースクール、親の会、相談活動を展開してきた。

 代表理事の増田良枝さんはNPO法人設立時から「生活を支える場づくり」を構想していたが、資金不足などの壁に阻まれ断念。しかし、しだいに切迫した状況の子どもたちに出会う機会が増えてきた。

 「『今日、寝る場が場がない』『援助交際すれば一泊は泊まれるから』という子どもたちに出会い、駆け込み寺のような場があればという思いが強くなってきたんです」(増田良枝)

 自立援助ホームとは、児童福祉法に基づく施設で、中学校卒業年齢時から20歳までの子どもが利用可能な施設である。承認窓口は児童相談所だが、基本的には本人が希望するとホームに入ることができる。なお、ゆらいの利用料は月3万円。そのほか、食費、家賃、光熱費などは国、自治体からの措置費でまかなわれる。

開始早々満室予定


 「ゆらい」は築約30年の民家をリフォームした物件で、男女6人の個室が確保されている。リフォーム代は有志理事らの寄付によって賄った。常勤職員は2名。そのほか、非常勤・パートなどのスタッフが支える。現在すでに3名の男女が入居中。「徐々に入居者を増やしていく」という方針のため、満室にはなっていないが数カ月以内には満室予定となっている。

 増田さんによると自治体から「満室になっていない施設があり、予算的にはこれ以上、増設することはできない」という理由で、これまでは設立を断られていたが、設立が決まると正式オープンを待たずに児童相談所からの電話が相次いでかかってきた。「いかに10代後半の子たちの行き場がないのかを痛切に感じた」と増田さんは言う。

 いま「ゆらい」に来ている子どもたちは、他県から預かっている中学生、アルバイト中の高校生、ショートステイ(短期宿泊)の子、そして4月中には親子関係が不安定で入居してくる子など。3月から子どもを受け入れを始めて約1カ月。どうに感じているのだろうか。

 「まだまだ真っ最中という感じで、いまは何も見えていません。ただ、経験上、言えるのはこういう時間をすごしてこそ着地点が見えてくるんだろう、と。ここに来た子たちは、昨日今日で試練にぶつかった子たちじゃありません。生まれてこの方、ずーっと試練続きの子たちでした。生きることは本当に厳しいんだ、かんたんにはいかないんだ、そういう覚悟をスタッフが決めることが先決です」。