不登校新聞

510号 2019/7/15

「私の育て方が悪かったのかな」そんなとき救われた夫からの言葉

2020年04月16日 13:17 by kito-shin



 息子はとっても慎重派。4歳だった当時、ほかの子は問題なくできることを躊躇する、家以外の場所に安心を感じられず、ママと離れることができない子どもでした。

 息子の幼稚園入園まであと半年になったころ。なんとか準備を整えなければ、ママ離れはかなり難航しそうだと感じていました。

 きっと、そのまま入園の時期を迎えても、本人の心に傷を残さずに園生活に移行できないだろう、と。



幼稚園を見学に行こう

 まずは、幼稚園はどういう場所なのか、本人に早めに把握してもらったほうがよいと考えて、見学をさせてもらいました。

 先生や園児のみんなの歓迎で、たけるは幼稚園がすっかり気にいり、「明日も行きたい!」という予想外の展開に驚きました。

 ところが、幼稚園生になったら、行くのは自分だけで、ママはいっしょじゃないということを知った息子は「だったら行かない」と言いました。楽しいのはママといっしょだから。そうでなければ楽しくないと言うのです。

 「困ったな、私の育て方が悪かったのかな……」。

 ふと、そう口にした私への夫の言葉は、徹底して息子に寄り添ったものでした。

夫「たけるには意志があるんだよ。ママは、たけるがまだ言葉にできないような心の声を拾い、それをせいっぱい尊重してきたでしょ。だからたけるは5歳なりの言葉で、自分の意志や気持ちをちゃんと表現することができるんだよ」。

私「でも、その尊重のために私から離れられなくなってしまったのかもしれない」。

夫「嫌だとか、自分の気持ちを言えるということは尊い。それに、たけるは存在や気持ち、ペースをないがしろにされたらすぐに体や心に反応が出る子だから、結局、尊重するしかないと気づきながら、たけるに合わせて俺たち親のほうが変わっていった。その子にはその子の、独自のペースもある。それを奪いたくない。たけるの感じることやウソ偽りのない反応に、俺たちは親として向き合い、たけるにとって本当に必要なことは何かを真剣に考えなくちゃいけないと思う」。

  *  *  *

 そうだった。いつも夫の言葉によって、「世の中のあたり前」に引っ張られていた軸が息子に戻ります。

 その後、ママ友から意外な情報を耳にして驚きました。同じ町内の幼稚園に、1年間、親子登園していたママがいること。理由は、子どもが望んだからということでした。

 たけるにその話をして「慣れるまでママもいっしょだったら幼稚園、行きたい?」と尋ねると、たけるは元気いっぱい「うん!」と答えたのでした。(文・絵 斎藤暁子)

■著者略歴/(さいとう・あきこ)『HSC子育てラボ』代表。心理カウンセラー。息子たける(9歳)と精神科医の夫は、ともに敏感・繊細気質。その気質がHSC、HSPであることを知り、情報発信の活動を開始。2018年にはWEBサイト『HSC子育てラボ』、19年には、オンラインコミュニティ「HSC親子の安心基地」 を立ち上げ。共著に『ママ、怒らないで。』(風鳴舎)、小冊子絵本『敏感な子の守りかた絵本』(アート印刷)。19年7月8日に新著『HSCを守りたい』(風鳴舎)を出版。

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